Wally and Egon エゴンシーレと共に

この度の展示では、20世紀初頭、ウィーンで活躍した画家エゴン・シーレの芸術上のミューズであり、実質上最初の妻と言われている、ヴァリー・ノイツィルに焦点を当てています。
私は、四半世紀以上シーレ作品の人形としての立体化に取り組み続けていますが、シーレの最重要人物にもかかわらず、私の中のキャラクターとしては未だに確立できていないヴァリーでもあるのです。とても難しい・・私の作ったヴァリーさんは修正、補修を繰り返し、満身創痍の状態です。でも、それがヴァリーでありシーレであるのかもしれません。
爛熟期の世紀末ウィーンの頃、第一次世界大戦が勃発して生きるのも困難だった時代、スペイン風邪が世界に蔓延し、シーレ夫妻も罹患し命を落とし、その前年、シーレときっぱり別れ従軍看護師として戦地に赴いていたヴァリーは猩紅熱にかかり、23歳の若さで亡くなりました。
100年前のヴァリーたちに心をよせてこの展覧会を開催致します。

幼少期より人形に親しみ、独学で作り続けてきた宮崎郁子は1995年に画集を通しウィーンの世紀末転換期の画家エゴン・シーレ(1890-1918)の作品と出会い、その絵画に導かれるようにシーレの残した作品を主題にして自身の制作を続けている。それは、ただ単に絵画の登場人物を造形としてなぞるのでは無く、画面に向かうシーレに時空を越えて寄り添い、モデルたちに触れ、対話するように形作られていく。

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